スタートアップの採用戦略:20〜30名規模で直面する課題とその解決策
公開日:2023年11月13日
スタートアップ
スタートアップが成長するにつれ、採用の課題はより複雑になります。特に、社員数が20〜30名に達すると、新たな課題が立ちはだかることが多いです。この記事では、そうした中規模スタートアップが直面する具体的な採用課題と、それを解決するための戦略について詳しく解説します。
初期ステージの採用状況
リファラル採用
多くのスタートアップの採用活動の初期に行われるのはリファラル採用です。特に、社員数が20名〜30名まではリファラス採用のみで採用をしているという会社も珍しくありません。まずは、採用活動の入り口ともいえるリファラス採用のメリット・デメリットを理解して今後の戦略を考えてみましょう。
リファラル採用のメリット:信頼性があり、採用コストが低い。
リファラル採用は、社員が自身のネットワークを通じて候補者を推薦する手法です。このアプローチの主なメリットは、信頼性の高さにあります。これは、既に社内で働いている社員は会社のカルチャーや理念と推薦者の相性が良いと思うからこそ推薦するからです。
さらに、リファラル採用は通常、採用広告やエージェントにかかるコストを大幅に削減できるため、採用コストも低く抑えられます。
デメリット:多様性が乏しくなりがち、企業文化の閉塞。
リファラル採用の一つの欠点は、社員のネットワークに依存することにより生じる多様性の欠如です。社員が紹介する人材が限られた範囲に偏ると、企業内の多様性は不足し、新しい視点やアイデアが導入されにくくなります。さらに、似たバックグラウンドやスキルセットを持つ人材が多くなると、企業文化のアップデートが阻害され、成長の機会を逃す可能性があります。
業務委託からの正社員転換
メリット:スキルと適性の確認済み
業務委託から正社員に転換する際の大きなメリットは、その人が持っているスキルや適性、業務への適合性があらかじめ確認できている点です。業務委託の段階でその人の働きぶりを見ることができるため、正社員として採用する際のリスクを下げることができます。
また、採用仲介費を支払う必要がないこともメリットです。これは特にスタートアップや中小企業にとっては、費用を抑える重要なポイントとなります。
スタートアップでは、業務委託や副業人材のエンゲージを上げて正社員転換を狙うのは大きなテーマとなっています。
具体的な方法については以下の記事よりご覧ください。
>>>【対談】副業人材の生産性向上と社員転換-エンゲージメント強化のコツ
デメリット:待遇の複雑性と調整
業務委託から正社員になると、福利厚生、定期的な評価、昇給・昇格の可能性など、多くの要素が絡むため、その調整が複雑になる可能性があります。この過程は、組織内のポリシーとの整合性を確保しつつ、公平性を保ちながら進める必要があります。
解決策:明確な給与体系と評価基準
これに対する解決策として、給与体系や評価基準を明確にすることが求められます。特に、業務委託から正社員に転換する際の待遇変更を明確にし、それを社内で共有することが重要です。
小規模時代の採用の限界
限界:採用スピードが企業の成長に追いつかない
スタートアップが成長し、製品やサービスが人々の注目を集めるようになると、そのスピード感は採用活動にも求められます。しかし、スタートアップの初期段階では、人事部門が未発展である場合が多く、採用プロセス自体が未熟で非効率的なことが多いです。
この非効率性が顕著になるのは、特に社員数が20名~30名に達したあたりです。企業が急速に成長する一方で、採用活動はそのスピードに追いついていない場合、人手不足からプロジェクトの遅延、さらには社員の過労といった問題が生じる可能性が高まります。
必要性:採用プロセスの仕組み化とスケーラビリティ
このような状況に対処するには、採用プロセスを仕組み化し、スケーラビリティを持たせる必要があります。具体的には、求人の作成から面接、オファーまでの一連の流れを標準化し、それを効率的に回せる体制を整えることが求められます。
このように、スタートアップが次のステージへと進むためには、採用活動もまた進化させる必要があります。スピード感を保ちつつ、質の高い採用を実現する仕組みを構築することが、持続可能な成長のためには不可欠です。
採用ニーズの増大
企業が中規模に成長すると、採用の課題はより複雑化します。これまでの狭い範囲から脱却し、製品開発からマーケティング、営業まで、多くの部門で人材が必要になるのです。これは単に人数を増やすという問題を超えて、各部門、各職種で求めるスキルセットが大きく異なるという新たな課題を生む可能性があります。
例えば、開発部門ではプログラミングスキルが必須ですが、マーケティング部門ではデータ解析やコミュニケーション能力が求められることが多いです。一元的な採用戦略ではこのような多様なニーズに応えられません。
成功への道:採用戦略の骨子
企業ビジョンとミッションの整理
重要性と方法
採用戦略を成功に導くための最初のステップは、企業のビジョンとミッションを明確に整理することです。これが不明瞭なままでは、目標に合った人材を採用することは難しいです。方法としては、経営陣や各部門のリーダーと一緒に、企業が目指す方向性や価値観を議論し、それを全社員に明示することが重要です。
例えば、あるIT企業では、企業の成長とイノベーションを推進するためのビジョンとして「テクノロジーで世界を良くする」を掲げています。このビジョンに基づいて、エンジニアだけでなく、マーケティングや営業の人材も採用しています。
>>>具体的な例はこちら
戦略的な人材プランニング
長期ビジョンに基づいた計画
ビジョンとミッションが明確になったら、次はそれに基づいて長期的な人材プランを作成します。どのスキルセットが必要で、それをいつまでに確保するべきか、といった点を計画に落とし込む必要があります。
スキルと文化のマッピング
企業文化と求めるスキルをマッピングすることで、より効率的な採用が可能です。たとえば、企業文化が「自由と責任」を重視する場合、それにマッチする自主性の高い人材を優先的に採用する方針が有効です。
ケースバイケースでの対応
一つの採用戦略が全てのシナリオに適用できるわけではありません。市場環境や業績、技術の進展に応じて、採用戦略も柔軟に変える必要があります。
外部からの知見の活用
部の専門家やコンサルタントの意見も活用し、戦略に新たな視点を取り入れることも有効です。特に急成長している企業やスキルセットが多様な場合、外部の知見が非常に価値をもたらす場合があります。
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